日本は国土の67%が森林であり、古来より畏敬の念を持って山と暮らし、山の森から生きる為の糧を受け貴重な樹木を切り出し、住居や橋道を作り森と共に生きてきました。
しかし現在は国産の貴重な材木、優れた匠の技で作られた伝統ある住宅は次々と解体され、鉄筋コンクリートや外国産材木などを使った近代的な住宅へと建て替えられています。
建て替えの多くは耐久性の問題ではなく、
核家族化が進みライフスタイルの変化により、間取りが使いにくい、古くて気に入らない、職場への交通の便が悪い、近隣の家の新築など諸事情による問題が多い様に感じます。
そんななか現存する古民家は、太い梁や柱、丁寧に塗られた土壁、一枚一枚仕上げられた建具、草の匂いのする畳、どれをとっても日本人の職人の手が生み出した、心のこもった大変貴重な存在だと思っています。
古民家と聞くと、暗くて古くて寒くて、使い勝手の悪いイメージが付いていて、早く解体して新しい家に建て替えたいと思われている方が多くいらしゃいます。
私自身、少年期の夏休みは築150年の祖父母の住む茅葺の家で過ごし、昭和40年当時は新築ラッシュでしたので早く祖父母の家も新しい家に建て替えればいいのにと思っていました。
しかし成人しその話が現実になると少年時代の思い出が頭をよぎり、目の前で解体され廃材になっていく光景を見ながら、寂しさと本当にこれで良かったのかという思いが湧いてきました。
そうした私と同じ思いを持った方々に鑑定を通して少しでも、古民家の価値と存在意義を知って頂き、木を愛する心と一緒に未来の人達に残してゆく事が私達の使命だと思っております。
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